カテゴリー「宿泊記(ぼっち専用)」の記事

2018年12月13日 (木)

奥日光の全8室の温泉宿「紫雲荘」

自宅から気軽に行ける日光・鬼怒川エリアの温泉宿を探したところ、奥日光に貸し切り温泉と部屋食を提供する宿を見つけた。

・紫雲荘
 TEL0288-62-2528
・栃木県日光市湯元2541-1
・宿泊日:2018年12月13日(木)※閑散期
・プラン:2食付き 6畳禁煙室

ぼっちdeだいじょうぶ度(5段階)
・館内  ★★★★全8室のこじんまりした旅館。
・客室  ★★★階段を歩く音はわりと聞こえた
・大浴場・露天風呂 ★★★★貸し切りできるが事前要確認
・夕食  ★★★★★部屋食
・朝食  ★★★★★部屋食



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JR日光駅・東武日光駅から湯元温泉行きのバスに乗り、終点の湯元温泉バスターミナルから3分ほど歩いた先に紫雲荘はある。

全8室のこじんまりした旅館で、シーズン中はハイキングや登山客の定宿になっているようだ。朝早い出立に対応するため朝食を弁当にすることもできる(要予約)。




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るるぶで予約したのは六畳の禁煙室だが、空いてたためか八畳の禁煙室「わたすげ」に通された。

客室にはトイレ(非ウォッシュレット)とバスが備わっている。ただしバスは使用できないため公式や予約サイトには「バス無し」と表記されている。

空調は無く暖房はファンヒーターのみ。
冷蔵庫にはビールと地元の酒類が入っていた。ソフトドリンクは無く外の自販機でしか買えないようだ。




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夕食。野菜と日光名物湯波主体のヘルシーなメニューで豆乳鍋も付いておいしく頂けた。

ただし米が残念だった。品書きには「栃木県産コシヒカリ」とあったが保温して時間が経った味気ない米だった。朝食も同様でしかも量が多いため、米は残さない私もさすがに食べきれなかった。

以前奥鬼怒の温泉宿でカチカチに固まった米と水気の多い米が混ざった酷い飯が出たが、そこまでではないにしろ品書きに栃木県産コシヒカリと銘打ちながら炊き立てが食べられなかったのは残念だった。




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温泉は硫黄泉。露天風呂は貸し切り可能で、この日(12/13平日)は最初だけ10分ほど待ったが他はすんなり貸し切りで入れた。

湯船は3人ほどの広さ。寒かったせいか湯が若干ぬるかった。




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湯元温泉バスターミナル。
前日まで道路の一部しか雪が無かったのに一夜でこの有様。宿の人がバスターミナルまで車で送ってくれた。

なおJR日光駅、東武日光駅からの路線バスは2日間有効のフリーパス(3000円)があり、シーズンオフの12月~3月の間は半額(1500円)で購入できる。
半額で購入するには予約した内容が分かる書面(予約画面を印刷したもの)をバスのチケット売り場の窓口に提示するか、前もって宿にフリーパスを購入する旨を伝えればよい。

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2017年9月29日 (金)

松楓楼松屋 露天風呂付き特別和洋室「水きよく」

残業を頑張った褒美として露天風呂付き客室の旅館を探したところ、那須塩原の「松楓楼松屋」が目に付いた。

松楓楼松屋は明治時代から続く老舗旅館だが、2016年に露天風呂付き客室がリニューアルしたとありその目新しさに惹かれた。
リニューアルしたのは5つの特別室で、今回はそのなかで最も高価な「水きよく」に宿泊した。


松楓楼松屋 TEL0287-32-2003
・栃木県那須塩原市塩原168
・宿泊日:2017年9月28日(木)※平日の通常期
・プラン:露天風呂付き特別和洋室「水きよく」(106号室)


ぼっちdeだいじょうぶ度(5段階)
・館内  ★★★★ごく普通の旅館。館内浴衣OK。
・客室  ★★★★★玄関付近で外の音が聞こえる程度。
・大浴場・露天風呂 大浴場は利用せず。客室内露天風呂は★5
・夕食  ★★★★★部屋食
・朝食  ★★★★★部屋食



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那須塩原駅からJRバス関東の塩原バスターミナル行きに乗る。
このバスは那須塩原駅から一日5本、途中西那須野駅から一日15本運行されている。

運賃は那須塩原駅から松楓楼松屋最寄りの「塩原福渡」まで片道1,080円、西那須野駅からは片道920円。※2017年9月現在

JRバス関東:那須塩原駅~西那須野駅経由~塩原BT時刻表




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バス停から徒歩2分ほどの道沿いに松楓楼松屋はある。
一方通行沿いに位置し、行きと帰りのバス停はそれぞれ別の道沿いにあるのでバス利用の際は気をつけたい。

宿の外観は周りの風景に溶け込んだ老舗旅館そのものだ。




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入口の2階フロントでチェックインを済ませると専任の仲居さんを紹介され、その仲居さんが部屋へ案内してくれた。

「水きよく」はエレベータを一つ下った1階「湯の里の詩」という特別室フロアに位置し、エレベータから最も近い。

通路は香が焚かれ、上品な香りが漂っていた。




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図のように「水きよく」は5つの特別室の真ん中に位置し、通路から見てくぼんでいる。逆に川からは一部屋だけ出っ張っており、そのため最も展望が良い。

客室面積は86㎡。
他の特別室は60~77㎡なので面積に大きな違いは無いが、上記のように細かい面で他の特別室とは差異があった。



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※玄関と次の間は質素で凜としたたたずまい

ちょっとした宿では仲居さんが荷物を持ってくれるが、ここは仲居さんが浴衣と部屋の鍵を持っていたのでそれは無かった。

部屋に入ると加湿器やコーヒーメーカーの説明、露天風呂の温度調整、夕食と朝食の時間の説明を受けた。

食事時間は最初にダメな時間を言われ、それ以外から選ぶように言われた。他の宿でも満館ではそういった対応は見られるが、仲居さんの話ではこの日は満館ではないとのことだった。

夕食は18時が埋まり朝食は7時が埋まっているとのことなので19時と8時にした。部屋食で専任の仲居さんがいるのになぜ?と疑問を感じながら…




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客室はさすがに広い。

室内は4区間に分かれ、左手前がリビング、右手前が和室、左奥が食事をするダイニング、右奥が寝室になっている。




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カメラを右に振ったところ。
寝室と和室の間から玄関に至る。




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ダイニングからリビングを見る。
リビングの奥の扉の向こうが洗面所と客室内露天風呂。

4人掛けのダイニングテーブルは一人では持て余す広さ。ただ会席料理を4人分出すにはきつそうだ。
そのため「4人まで部屋食」としているのだろう。




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ダイニングの右手方向から。
中央の椅子はまるで西洋の大叔父様が座ってそうな揺り椅子で座り心地が良かった。

マッサージチェアは残念ながら客室内には無く、館内ではマッサージチェアルーム(7時~23時)に置かれているのみだ。




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寝室はツインベッドタイプで一つのベッドがセミダブルほどある。
布団はふかふかの羽毛布団で一枚でも充分暖かった。

私は羽毛布団などの高級な寝具では寝つきが良くないが、この日は朝4時まで残業したのでさすがに寝つきが早かった。




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洗面所への途中にコーヒーメーカーと茶器、冷蔵庫がある。

コーヒーメーカーはUCCのドリップポッドで、専用のドリップポッド(下の写真の中央)を取り付けて淹れる。
コーヒーのほかは紅茶とココア、緑茶も備わっている。冷水は食事のたびに仲居さんが用意してくれた。




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冷蔵庫には瓶入り飲料がぎっしり。
温泉上がりのサイダーが格別だった。高そうな酒もあったので酒が飲めたらもっと格別だったろう。

なお冷蔵庫の飲料は中から取るとフロントに伝わり、翌日のチェックアウト時に加算される。




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入浴用の備品はバスタオルとタオルが各一枚、バスローブ一着、足拭き用のタオル二枚が備わっていた。

タオルとバスタオルは玄関横のクローゼット内にもう一枚ずつ備わっていた。おそらく大浴場用だろう。




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洗面所はいたってシンプルで、特に櫛や歯ブラシなどの消耗品はビジネスホテル並みだった。これには萎えた。

整髪料はPOLAのガチ、化粧水はPOLAのエステロワイエというブランド。調べたところ普及品でも高級品でもない位置づけのようだ。




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洗面所に萎えつつ露天風呂への扉を開けると、開放感あふれる信楽焼造りの露天風呂が目に入った。

リニューアルから一年経過しているので若干の古さは見られたが、それでも汚れやカビの無い綺麗な浴槽だった。




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泉温は55度。1キロ先の源泉から引いている。
源泉掛け流しだが浴槽内の温度調節のための循環は行っており、湯船内の給水口と排水口で湯を循環している。

湯船は内寸110cm~150cmで大人が余裕で寝そべれる広さ。
湯は無色透明で無臭に近い。




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夜の露天風呂。ライトアップすることができる。
川沿いに立つと対岸と真下の遊歩道から丸見えになるので注意。




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対岸には混浴の露天風呂「岩の湯」があり、夜間を除いて地元の人と思われる人たちが出入りしていた。

対岸から丸見えだ。しかも朝は渓流釣りや散歩の人が通るのでおそろしく敷居が高い。男でも入浴をためらうレベルだ。

ここは女性たちに超高難度の混浴露天風呂と認知されているようで、ネットで調べると先客で溢れていたり周囲から丸見えになることから入浴を断念した例が多く見られた。




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夕食は会席料理の形式。
ただし先付けから一品ずつ持ってくるのではなく、二回に分けてまとめて持ってきた。露天風呂付き客室はカップルでの利用も多いため、仲居さんに何度も出入りされたくないことからこうした配膳をする例が見られる。猪苗代の静楓亭もそうだ。
この辺は人によって好みが分かれるので評価や批判はしないでおく。

個人的には一人旅ばかりで酒を飲まないので一品ずつ来ると間が持たない。なのである程度まとめて持ってくるほうが嬉しい。

※メニューは献立(基本コース)参照




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食前酒は果物の種が浮いた梨酒。見た目も味も上品だ。

小さくて丸いお寿司や背中にいくらが詰まった海老や透けた紙に包んだかぼちゃ(?)など目で見て楽しむ美しい料理ばかりで、食に無頓着な私もじっくり鑑賞しながら味わった。




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肉は「熟成ロース肉」とあった。
特選コースは更に高級な肉が付くそうだが、これでも充分な量とおいしさだった。おそらく私の舌では違いは分からないだろう。




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サーモンと塩原産鱒のサラダ仕立て。
鱒の刺身は初めて食べた。透き通ってクセがなく馬鹿舌の私でさえ一口で分かるおいしさだった。




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マツタケの土瓶蒸し。右のカボスの汁と混ぜて食べる。
具はもちろん汁が絶品で最後の1滴まで飲み干すうまさだった。




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二回目の配膳。
椀物と止め椀と香の物、その他もろもろが一気に来た。

右の柿の葉にくるんだ鮭の味噌焼きは飯のおかずに最高だった。
米は栃木県産コシヒカリ。某宿と違ってさすがに保温した米ではない。

ご飯の上の椀は茶碗蒸し。
木の葉の形の人参や銀杏が入って見た目も楽しい……が、この時は腹がふくれてパンパンで正直苦しかった。
基本コースでも大の男性が腹いっぱいになるほど量がある。




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パンパンにふくれた腹をさすり最後のデザートを掻き込む。
マンゴスチンは食べやすいようにくり貫かれ、巨峰は口の中で皮を取りやすいよう上を丸く切ってある。

凝りに凝った会席料理を腹いっぱい食べられたので食事は満点を付けたい。特選コースはこのほかケーキが付くそうだ。




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朝食は納豆がパックだったのがアレだが、すりおろした山芋や煮物や米がおいしかった。

米は一合半くらいあったかもしれない。茶碗に軽く4杯分はあった。
夕食に続いてパンパンに膨れた腹をさすり、品のないゲップをしながら部屋食だったことに感謝せずにはいられなかった。




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※水きよくの客室の鍵と金庫の鍵

総括すると客室と夕食は高級宿レベル、仲居さんやフロントのサービスの質は普通の宿レベルという印象だった。

決してサービスが悪かったわけではない。
単に高級宿で見られる所作が身についてなかったり、会話に自然さがなかったり、たまに地が出るのが見られた程度である。
高級宿に見合ったサービスを求める人は気になるだろうが、一般の人なら特に気にならないレベルだ。

再泊したいかといわれると微妙である。
湯に特徴が無いし、最初に最高ランクの特別和洋室に宿泊したので他はそれ以下の客室しかないからだ。

それでも言葉を濁したのは夕食が良かったから。
季節ごとに献立は変わるし、違う季節に飯を目的に来るなら良いかもしれない。

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2017年7月26日 (水)

湯河原温泉 昔ながらの温泉宿「旅館なわ井」

久々の平日連休。
部屋食と貸し切り風呂を提供する宿を探したところ、湯河原の旅館なわ井を見つけた。しかも舟盛りを選べるプランがある。

結論をいうとこの宿は長所と短所がはっきりしていた。
長所は食事。短所は施設の古さと一部の不衛生さだ。短所が気にならなかったり、短所を覆い隠す魅力がなわ井の食事にあると思えば、きっとリピートしたくなると思う。


旅館なわ井 TEL0465-62-3118
・神奈川県湯河原町宮上148
・宿泊日:2017年7月25日(火)
・プラン:【一人旅】朝・夕部屋だし☆温泉貸切☆のんびりプラン♪~舟盛~<和室10畳トイレ付>


ぼっちdeだいじょうぶ度(5段階)
・館内  ★★★★他人の存在は殆ど気にならないが、古い木造旅館で防音は無いに等しいので夜歩くときは気を遣う。
・客室  古い木造旅館なので外からの音はよく聞こえる。空いてれば★4~5。
・風呂 ★★★★★客室6に対し貸切風呂2。ぼっちには好条件。
・夕食  ★★★★★部屋食
・朝食  ★★★★★(部屋食の場合)。通常は会場食なので注意。会場食は未経験なので評価不能。



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※客室からの眺め

湯河原駅から1.5km。細く入り組んだ道の途中に旅館なわ井はある。

密集した住宅地の中なので探すのに骨が折れる。なお車の場合は宿の近くに駐車場がある。ただし狭い道を曲がった先なのでベテランドライバーでも手こずるかもしれない。




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玄関を開けるとお婆さんに出迎えられた。
この人はフロント業務や給仕などを受け持つようで夕食の配膳を除いてお世話になった。

玄関は1階、風呂とフロントは2階、客室は3階にある。エレベーターは無いのでそれぞれ階段で移動する。お婆さん大変だろうに。




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客室は6つしかない。

基本は10畳のトイレ洗面所付きで、2部屋だけ風呂が備わっている。
客室はそれぞれ「桔梗」、「桐」、「楓」、「すみれ」、「百合」、「萩」の名が付き、私は「楓」に通された。




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広縁によく置かれる冷蔵庫はここにはなく、かわりに洗面所があった。

旅館といえば瓶入り飲料の冷蔵庫というイメージ(と願望)があるので、この点はいささか残念だった。




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壁と襖はタバコのヤニで茶色く変色し、エアコンもヤニで黄ばんでいた。

全体的にヤニ汚れと傷みが目立つ。
ただし目に見える範囲においては清掃されていた。




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押入れには浴衣1組とバスタオル1枚、袋にはタオル1枚と歯ブラシ。

なわ井の温泉は熱いので湯上りは浴衣とタオルが汗まみれになる。欲をいえばバスタオルはもう一枚ほしいところ。




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夕食は女将さんとおぼしき着物姿の女性が配膳してくれた。

料理は会席料理の形式で、基本的には一品ずつ運ばれるが一部はまとめて運ばれてきた。



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海が近いだけあってメニューは海の幸が多い。




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白魚の卵とじ。溶き卵を掛けて卵とじにして食べる。

旨かった。味付けが素晴らしい。これだけでご飯2杯は行ける。といってもご飯は最後にならないと来ないが。




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山芋の豆腐。山芋を豆腐のように見立てた一品。

山芋はもちろんのこと、汁の味付けが絶品だった。




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ここで舟盛りが登場。
40センチ弱の舟に6種の刺身と海草が盛られている。

どうも刺身については極度の馬鹿舌のようで、見た目の華やかさとプラシーボ効果で旨い物を食べた気にはなったが、反面そこら辺の刺身と大差ない気もした。
ただし先述の通り馬鹿舌で、小樽の三角市場の海鮮丼と巷の安物海鮮丼の区別が付かないことを書き加えておく。

というわけで舟盛りの感想は鵜呑みにしないでほしい。




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かぼちゃ饅頭のあんかけ。
かぼちゃなのに弾力のある不思議な食感の一品。これも旨かった。




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鯛の煮付け。
味付けが濃く、食べてる最中やたら喉が渇いた。

部屋食は料理が来るまで冷めていることが多々あるが、なわ井は温かい物はすべて温かく運んできた。




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揚げ物。塩で食べる。

揚げたてとまではいかなくても熱々のカリッとした揚げ物を部屋食で食べられるのは素晴らしい。




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揚げ物の直後にご飯と椀が運ばれてきた。
刺身が冷たいうちに刺身とご飯を一緒に食べたかったが、それは会席料理的にタブーなのだろう。

ご飯はとうもろこしご飯で、長く保温した米みたいな味でいまいちだった。お代わり自由と言われたが一杯しか食べなかった。




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デザートは大きな器に抹茶ケーキとりんご一切れと牛乳ゼリー。

以上が夕食の内容。一品一品の量は控えめながら1時間くらい掛けて食べるので不思議と腹一杯になった。
それにしても普段からこう食べれば食べ過ぎを予防しつつ体にも優しいのに、家に戻るといつもの早食いに戻ってしまう。


デザートを食べ終わると女将さんが部屋に布団を敷いてくれて翌朝の食事時間を聞いてきた。
朝食も部屋食のプランなので8時に持ってくるようお願いした。

※ぼっち重要情報
朝食は通常は会場食。今回は夕朝食とも部屋食のプランを選択したが、この場合通常より800円ほど高い。とはいえ800円で部屋食に変更できるのは大変良心的だ。




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風呂は2ヶ所あり、ともに貸し切り専用となっている。
写真は「左の湯」の脱衣所。

風呂は他の客がいなければ内鍵を掛けて自由に入れる。なわ井を選んだのは部屋食と貸し切り温泉が大きな理由だった。

湯は源泉掛け流しの弱アルカリ温泉。
泉温は大変高く、熱風呂が苦手の私にはつらかった。一応水で薄められるが他の客も入るのでいたずらにぬるくはできない。




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「左の湯」は1~2人用の風呂で蛇口と椅子は一つずつしかない。

お湯は誰もいないと(誰かが薄めないと)どんどん熱くなり、風呂内に熱気がこもってサウナになる。夜中に目が覚めて風呂に入ったら入室した瞬間熱気で立ちくらみした。




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右の湯。こちらは3~4人用の大きな風呂で脱衣所も広い。




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「右の湯」は4~5人は入れる。
これを貸切できるのだから豪勢だ。

ただしこちらは外の住宅から丸見えなので窓ガラスの下部に白いスプレーを塗りたくって目隠ししてある。これを外から見ると誰かがいたずらしたように見える。

なお右の湯、左の湯ともカビが目立ち、特に取っ手は大量のカビで変色し、触るのを躊躇したほどだった。
改善してほしい点だが見るからに人手が足りないし、フロントの足腰弱そうなお婆さんでは風呂掃除などできないだろうから、期待するだけ無駄だろう。口コミでも古くから指摘されているのに改善されていない。




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温泉の成分表。
弱アルカリ性(ph8.47)の高温泉で泉温は59.9度ある。

私は首の髭を剃ると首がヒリヒリしたりブツブツができたり真っ赤にただれるのだが、この温泉に入ったらそれがいつの間にか無くなり、正常の肌に戻った。そんなすぐに効果あるのかいささか疑問だが、体に良い効果が認められたのは確かだった。




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気温が高いときのみ加水とあるが、そうは思えないほど熱かった。
この熱さは熱い湯好きな江戸っ子でも躊躇すると思う。




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2階のロビー。

幕が下りた窓がフロント。左側の通路の先が風呂。
ここにはパンフレットやお土産品も置いてある。、



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ロビーの隅に自販機がある。
ペットボトルの飲料と缶コーヒーと缶ビールが置かれ、アルコールは310円、その他は定価販売。




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朝食は夕食と打って変わり、ご飯がツヤツヤでおいしかった。
ご飯は一合分くらいのおひつで満足感も高かった。

奥の卵焼きと右の豆乳鍋は薄い味付けながら何もつけずに食べられるほど旨かった。


以上、なわ井の紹介。
飯の旨さと「部屋食」「貸し切り風呂」等の少人数をターゲットにしたプランをどれほど重視するかでこの宿の価値は大きく変わると思う。
この価値が分かればお気に入りの定宿になるだろうし、逆ならぼろくて不潔な宿の評価を下すだけになるかもしれない。

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2017年5月 8日 (月)

乃木温泉ホテル 特別室「茶臼」

乃木温泉ホテルは西那須野駅から徒歩15分ほどの街中にある。

美人の湯といわれるつるつるした泉質が特長で、隣の日帰り温泉施設とは独立しているため客がバッティングしないのも利点だ。

今回、GW最終日の日曜ということもあり、3つの特別室のうち最上級の「茶臼」を運良く予約することができた。


乃木温泉ホテル TEL0287-37-4126
・栃木県那須塩原市下永田1-993-11
・宿泊日:2017年5月7日(日)
・プラン:9階茶臼(特別室)※74㎡

ぼっちdeだいじょうぶ度(5段階)
・館内  ★★★★ロビーはわりと開放的。館内は浴衣でOK。
・客室  ★★★★★特別室(茶臼・彩・かりん)は完全に一人の世界
・大浴場・露天風呂 利用しなかったため未評価。客室内温泉(★5)があれば少なくとも大浴場は必要ない。
・夕食  ★★★★10階レストランで会席料理(指定席)。食事担当が頻繁に席に来るので人によっては「★2」くらい。
・朝食  ★★★★ビジネスホテルに似たバイキング形式だが客質が良いので居心地は良い。



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西那須野駅から徒歩約15分。

これといった目印が無いので地図か地図アプリはほしいところ。
この日は駅を出てから急な夕立に降られたので尚更だった。

ホテルの外には宿泊者の名前が貼り出されていた。
この日はガラ空きだったのでおそらく全員分だろう。満員のときはどの程度貼り出すのだろうか。




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入口の先のエスカレータを上るとフロント階(2階)に着く。
フロント階ではチェックイン、チェックアウトなどのほか、売店でおみやげなどを買うことができる。




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チェックインで鍵を受け取り、エレベータで9階へ。
9階は茶臼・彩・かりんの特別室のほか、一般利用されていない「那須」という客室がある。

この日、他の2室は人の気配がなかった。空室だったのだろう。
乃木温泉ホテルは客が少ない日に客室のアップグレードや特別室の格安解放をわりと行う。そのためこう書くと難だが相応しくない客が来そうで若干不安はあった。

一般客室間のアップグレードはともかく、特別室を格安に開放するのはできればやめてほしい。ありがたみも薄れる。




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ドアは鍵式でオートロックには対応していない。

室内に入るとスイート感あふれる広々した玄関が目に飛び込んだ。
しかも清潔で清掃が行き届いている。




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玄関から客室奥を見る。

テレビは50インチくらい。部屋が広いのでベッドの上からテレビを見ると6畳間の14インチテレビ並みに小さく見える。




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テレビ側から客室奥を見る。
奥は和室。押入れに敷き布団が入っているので畳に布団を敷いて寝ることができる。




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ベッドは大きな木製の台座にセミダブルベッドが二つ。
茶臼の室内を初めて見たときは広さに圧倒されると思う。

ベッドの台座は暗色で脛の位置が出っ張っているので気を付けたい。夜中トイレに行った後などに寝ぼけて脛を打ちやすい。




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トイレと洗面所は玄関のすぐ右にある。

大変清潔だ。小うるさい姑が目を光らせてもケチをつけられないだろう。他の宿泊記にも書いたが、清掃が行き届いているホテルは安心できるし、なにより信用できる。




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アメニティはシンプルながらそれなりの物を使っている。

髭剃りは3枚刃、歯ブラシは市販品200円相当、ヘアトニックやアフターシェーバーは資生堂のアウスレーゼ。女性用化粧品には疎いが男性用より質で優っても劣ることは無いだろう。




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ガラス棚には化粧品6点セットが入った紙袋二つとタオルが二つ。
化粧品6点セットは口コミを見ると女性に好評のようだ。




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トイレも広い。74㎡だけあって空間を贅沢に使っている。

もちろん清潔で不快なにおいは全く無い。
一時期若い子の“トイレ飯”が騒がれたが、その子らに「ここで食べなさい」と自信を持ってお薦めできる綺麗さだ。




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茶臼を選んだ理由は広さもさながら和室のデザインだろう。

襖を開けると大きなガラス戸。その奥は檜の温泉風呂。
洒落ている。かっこいい。全力で写真を撮りたくなる。今回は撮影のために水準器を持参したほどだ。




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テーブルにはお茶セットと氷水が入ったポット。

私が驚いたのはルーム(清掃)担当の名前が書かれた用紙に一人しか名前が入ってなかったことだった。
一人でこの部屋を清掃したのだろうか。鬼姑が全力でケチを付けにいっても落ち度が見つけられそうもないレベルにまで…




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和室の扉を開けると脱衣場と洗面所(化粧台)。

バスタオルは玄関の横のクローゼットに入っている。おそらく客室内の風呂を使うか大浴場を使うかわからないからだと思うが、どうせなら脱衣所とクローゼットに二枚ずつおいてほしかった。




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湯船は総ヒノキで大人が寝そべれる広さ。
ドア側の壁には小型テレビがあり湯船に入りながら視聴できる。

浴室のガラス戸からは和室が見える。面白いデザインだ。




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シャワーはハンドシャワーと頭上からのシャワーの二つで同時に使うことはできない。

浴室内も当然ながら清潔だ。
清潔なホテルは安心できると書いたが、この段階では完全に安心して撮影にいそしんでいる。




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蛇口のハンドルは左手前から「お湯」、「水」、そして幅広の蛇口二つを挟んで「源泉(お湯)」の順になっている。源泉は写真のように向かって右の蛇口から出る。

湯船が広いので湯(源泉)を溜めるまで20分ほど掛かる。




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石鹸類は海外産が揃っている。

手前からイタリア産のバスソルト(塩)、ポルトガル産のマッサージソープ、ポルトガル産のグリーンソープ。

奥の細長いチューブはフランス産のシャンプー、コンディショナー、ボディソープ、ボディオイル。
好きな人にはたまらないだろう。




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客室からの眺め。
10階のレストランとほぼ同等の景観が得られる。




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夕食と朝食は10階のレストランで摂る。
夕食は会席料理で、担当によって食前酒から先付け~進肴(強肴)……と一品ずつ料理が運ばれてくる。

時間を掛けて食べるのでせっかちで早食いの人はつらそうだが、そこは担当が気を利かせて空の食器をすぐに下げて次の料理を持ってきてくれるので気にしなくて良さそうだ。

一番おいしかったのは釜炊きのご飯だった。透明に輝く銀シャリで馬鹿舌の私がブラインドで分かるうまさだった。
おしながきには「栃木県産特別栽培米コシヒカリ」とあったが、もしかして幻の大田原両郷米だったのだろうか。




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勇気が無いのでモザイク入れます。
人物を入れれば部屋の広さが掴みやすいと思う。




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特別室の宿泊客への特別対応は夕食時の専用席くらいで、荷物を持ったり部屋まで案内するなどのサービスは無い。その辺をどう見るかで価値は変わるだろう。
チェックアウトが朝10時なのもわりとせわしない。清掃との兼ね合いがあるが是非ともレイトチェックアウトに対応してほしい。

個人的には部屋の専用風呂で誰にも気兼ねなく温泉に入れたし、わりと本格的な会席料理が食べられたし、部屋の清掃が完璧だったので有意義な宿泊だった。

なお夕食のメニューは四季で変わり、客が同じ季節に再泊した際は申し出により別メニューを出すことも可能だそうだ。

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2017年2月 6日 (月)

「川俣一柳閣」雪のシーズン再泊

12月に泊まった「川俣一柳閣」へ再泊した。

前回は奇跡的に宿泊客が私一人だったが、今回は団体11人と個人2人組が宿泊した。その辺の違いを重点的に書きたい。施設の大まかな紹介は被るところが多いので前回の記事を参照してほしい。

川俣温泉一柳閣 TEL0288-96-0111
・栃木県日光市川俣40-3
・宿泊日:2017年2月5日(日)
・プラン::るるぶトラベル:「一人旅」ひとり旅応援 渓流を臨む三種の無料貸切露天風呂と和風会席 夕食はお部屋食

ぼっちdeだいじょうぶ度(5段階)
・館内  ★★★ロビーの椅子などは2人掛け以上がデフォでテレビの前は多人数が座る大きなソファ。若干場違い感がある。
・客室  ★★★他の客室と間を空けてくれる。閑散期★5
・大浴場・露天風呂 大浴場★2。露天★4.5。団体客は大浴場に流れる。露天は内鍵付きの貸切風呂が3つある。
・夕食  ★★★★★部屋食
・朝食  ★★宴会場で一堂に食べるので敷居は高い。他に客がいなければ部屋食にしてくれるが保証は無い。



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公共交通機関の場合、日光市営バスの女夫渕線に乗り、終点近くの「一柳閣前」で下車する。

女夫渕線は一日4便程度しかなく両替機が備わってない車両があるため、事前に鬼怒川温泉駅内のツーリストセンターで往復切符を購入することをお薦めする。




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※ぼっち重要情報
前回は303号室(エレベータ前)だったが今回は奥まった306号室に案内された。先述の団体客は2階へ、また個人客2人はエレベータを挟んで私と反対側に案内された。

このことから宿が客同士、また団体と個人を近づけないよう配慮しているのが分かる。




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上:客室から玄関を望む
下:洗面所とトイレ(客室に風呂は無い)

客室12畳、踏込0.5畳、次の間2畳、広縁4畳。
部屋の構成はすべてほぼ一緒だと思われる。




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前回と大きく違ったのは景色だった。
豪雪地帯にふさわしい降りっぷりで、外は白と黒の水彩画のようで、温泉からの湯気により桃源郷のような世界が広がっていた。




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夜もまたしっとりとした幻想的な光景だった。

※ぼっち重要情報
冬は閑散期だが、女将さんによると2月は個人客が一日平均4~5組ほど来るそうだ。理由は湯西川温泉の「かまくら祭り(今年は1月28日~3月5日)」で、この時期の湯西川温泉は泊まれない人が出るほど混み合うという。

その泊まれなかった人たちが宿と温泉を求めて流れてくるのだ。
よってぼっちでの安泰と雪見風呂をともに求めるなら、年末年始とかまくら祭りを避けるのが無難だ。12月は雪が少ないので1月中旬~下旬と3月初頭~下旬辺りが狙い目だろう。

海外では無名なので中国の旧正月は意識しなくていいと思う。




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お茶受けは二つ置かれていた。
また浴衣やタオルやアメニティも二つずつ備わっていた。
(前回はすべて一つ)




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初めて来たときは右下のガムテープに驚いた。
ガムテープはこの界隈で発生するカメムシを駆除するのに使うそうだ。




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木製のパーツを組み合わせて図形を作るパズルゲーム。
欲しかったが売店にはこの図形のパターンしかなかった。




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夕食はぼっちに嬉しい部屋食。
夕方6時頃部屋に持ってきてくれる。この日は仲居さんが他の客の給仕に出ていたので調理の人が持ってきてくれた。




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メニューは前回と殆ど一緒だった。
奥の焼き魚は脂が乗っておいしかった。

※ぼっち重要情報
朝食は5階(フロント階)の宴会場で一斉に会して食べる。
私(ぼっち)は入口のすぐ右、個人客2人は私の2mほど右、団体客11人は私の2mほど左前と右前に配置された。

だだっ広い宴会場でこの配膳はぼっちにとって敷居が高い。
ぼっちの人は事前に隅っこにしてもらうなど交渉するといいだろう。また割り増し料金を払って部屋食への変更を希望するのもありだろう。ただし無償で部屋食を要望するのは厚かましいうえ宿にとって負担かつ迷惑なので控えるべきだ。




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旅館といえば冷蔵庫の瓶入り飲料。
温泉上がりに栓抜きでシュポッと空けてグイッと飲むのが美味い。同じ飲料でも瓶とペットボトル、そしてシチュエーションでどうしてこうおいしさが変わるのだろう。

旅館が瓶にこだわるのはその辺にあるのだろうか。




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翌日は鬼怒川温泉駅発の特急の個室席が11時以降埋まっていたので、朝食後すぐにチェックアウトし一本前のバスで帰った。

チェックアウト15分前は晴れていたのにその5分後に一変して大雪。
豪雪地帯の底力を間近に見て一柳閣を後にした。

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宿泊記改定のおしらせ(ぼっち専用カテゴリー追加)

「宿泊記」カテゴリーに新たに「宿泊記(ぼっち専用)」を加えました。
ぼっち専用カテゴリーでは旅館や温泉宿のように一人で泊まるには敷居が高い宿を取り扱います。

そして「館内(フロント周辺など)」、「客室」、「大浴場、露天風呂」、「夕食」、「朝食」の5項目に関し、ぼっちでの居心地の良さを★の数で採点します。満点は★5つでぼっちでも何の憂いもないことを意味します。

ぼっちでは閑散期や休み明けの宿泊をお薦めします。
観光地より僻地、安い宿より高い宿を選び、客の絶対数を抑え質の悪い客層をはじくことが重要です。

それでは今後ともよろしくお願いいたします。

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2017年1月 8日 (日)

猪苗代の高級温泉宿「静楓亭」

年始に泊まれる温泉宿を探していた際、偶然静楓亭を見つけた。

静楓亭は「一人泊可」、「広い客室(50畳)」、「専用露天風呂付き」、「部屋食(会席料理)」と私が望む条件をすべて満たしていた。

今回埼玉から新潟への旅行中に立ち寄ったが、静楓亭をメインに旅程を組んだほど期待と憧れは大きかった。

料金は一人泊で5万4000円(税・サ込)。
正直高い。だが5万4000円出せば上記の条件をすべて満たしたハイクラスの宿に泊まれると思えば出せない額ではない。


静楓亭 TEL0242-62-5600
・福島県耶麻郡猪苗代町大道南1640-6
・宿泊日:2017年1月3日(火)
・プラン:るるぶトラベル お正月空きあり!源泉掛け流し 露天風呂付き客室 2食付プラン

ぼっちdeだいじょうぶ度(5段階)
・館内  ★★★★客は少ないが客層が良すぎて若干居心地悪い。
・客室  ★★★★★二重防音に広大な部屋。完全に一人の世界。
・大浴場・露天風呂 ★★★★★客室専用露天風呂
・夕食  ★★★★★部屋食
・朝食  ★★★★★部屋食



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猪苗代駅から送迎タクシー(もちろん無料)に乗り約3km。
猪苗代スキー場の南西、磐梯山のふもとに静楓亭はある。

宿に着くとご主人と女将さん、仲居さんの温かい歓迎を受けた。
初めての高級宿で若干緊張があったが、格式じみたお迎えではなくごく自然なほっこりとしたお迎えだった。

チェックインの際、外の池の立派な鯉を眺めていると「客室のお風呂の堀にも鯉が泳いでいるのでご覧ください」と薦められた。
鯉が温泉でも生息できるのを初めて知った。




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玄関の様子。
バリアフリー構造で客室内は殆ど段差がなく、室内は手すりが設けられているため足腰の弱い人でも楽に移動できる。

それにしても玄関でこの広さだ。しかもドアの先はまだ客室ではなく、客室へ続く「次の間」である。




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さきほどと逆側から玄関を撮影。
まるで団体様専用の部屋みたいだ。




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靴は仲居さんがいつの間にか出し入れしてくれた。

静楓亭にこれみよがしなサービスはない。
気が付かないうちにさりげなく世話を焼いてくれる。




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トイレは駅の車椅子トイレ並みに広く2畳くらいある。
もちろん広いだけでなく清潔だ。




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トイレのスリッパ。
スリッパだけで何足あったっけ……玄関に二足、トイレ、板の間……四足は間違いなくあった。

玄関に二足置かれているのがさすがだ。
二足あれば外への出入り用と室内履き用とに使い分けられる。




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12畳の和室。テレビを見たりご飯を食べる部屋だ。

客室紹介には「派手な装飾品は一切なく、高級旅館とは違う何も無い空間をお楽しみください」と謙遜しているが、質素さに見て取れる凜としたたたずまいは高級旅館そのものだ。




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寝室(十畳)はさらに凛としており、夜に枕元の照明をつけると、まるで時代劇の殿様の寝室のような装いを見せてくれる。

十畳の大部屋のど真ん中に布団がたった一組。
なんて贅沢な寝かただろうか。




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板の間から居間と寝室を左右に見る。

贅沢な空間の使いかただ。
なお客室は居間12畳、寝室10畳、板の間13畳の35畳。
さらに踏込みと次の間が8畳(推定)。そこに脱衣所と内風呂、露天風呂(7~8畳)、中庭を加わるととてつもない広さだ。

一人ではもちろん二人でも持て余すだろう。




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客室の大きな照明は明るさを2段階に調整できる。




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床の間には掛け軸とテレビ。
50インチはある大型テレビなのに部屋が広いので小さく見える。




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板の間から洗面所を見る。この板の間だけで13畳ある。

すべての部屋は床暖房になっている。
板の間も和室も同じくらいの温度に調整されているので和室と板の間を移動する際、スリッパを履き忘れそうになる。そればかりか雪国に来たことを忘れそうになる。




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逆側から撮影。
手前のマッサージチェアはいつでも自由に利用できる。




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板の間にあるミニキッチンは調理はできない(こんな宿でしたくない)が、コーヒーやお茶を淹れることができる。

また氷入りの冷水が置かれているので、お酒や飲み物に注いだり湯冷ましに一杯飲むのに重宝する。




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口コミでよく触れられるコーヒーメーカー。
コーヒー豆とコーヒーミルまであるので好きな粗さで淹れられる。コーヒー好きにはたまらない配慮だ。




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冷蔵庫には瓶入り飲料がぎっしり。旅館はこれが無いと始まらない。
個人的には瓶入りウーロン茶と水がなかなかレアで目を引いた。

高そうなお酒がたくさんあったが、あいにく酒は飲めない。
温泉宿でお酒をおいしく飲めたら旅がさらに楽しくなるだろう。こんなときは酒好きが羨ましい。




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客室は全部で11部屋しかない。
総平屋の客室がずらーっと並ぶ様はまさに選ばれし者たちだ(笑)。

なお客室間を隔てる壁はすべて二重防音で、隣からの音は玄関付近とおもての露天風呂以外殆ど聞こえない。
宿の名が示すとおり静粛さに関しては完璧だ。




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板の間と風呂を結ぶ洗面所。

化粧品は資生堂製でドライヤーもそこら辺のホテルにある物だ。
高級宿では海外のハイブランド品で統一する所が多いが、ここはそういった所は普通の旅館と変わらない。




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洗面所から脱衣所へ。
脱衣所にカゴが4つあるので4人での宿泊が標準なのだろう。




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湯はシャワーのみ沸かし湯とのこと。
沸かし湯は髪をトリートメントしたり温泉成分を流すときに使うが、せっかくの温泉成分を流すのが勿体無くて一度しか使わなかった。

内風呂は狭い。というか露天風呂があるのでぶっちゃけ必要ない。




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客室専用の天然温泉露天風呂。
広さは7畳とも8畳ともいわれ、大人が10人は入れる。あまりに広いので浮き輪を貸し出してるほどだ。

これだけの露天風呂が個々の客室にあるので、他の旅館にあるいわゆる「大浴場」は静楓亭には無い。

湯は緑色の若干鉄サビ臭でなめると甘い。
源泉掛け流しで循環や加水や加温はせず、湯量だけで温度を調節している。温度はチェックイン直前に最終確認するらしく、チェックイン時に客室の湯の温度を確認する仲居さんたちのやりとりがあった。




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夜の露天風呂。
質素で凛とした世界は美しく、能の世界を思わせる。

圧倒的な非日常感。時が過ぎるのを忘れそうになる。
しかもこの日は夜から雪が降り、暗闇の空から舞いおりる雪がライトで輝き、まるで蛍の群れのような美しさだった。




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雪は翌朝も降り続き、はからずも雪見風呂となった。
大きな雪玉を温泉に入れて溶ける様を見るのがまた楽しかった。

年末年始、この日まで雪は降らなかったそうで宿の人に運が良いと言われた。温泉宿ではなぜか幸運に恵まれる。

露天風呂は4回入った。
客室から近いので大変便利だ。




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夕食は部屋食。一人旅なので部屋食は嬉しい。

食事はおしながきにそって仲居さんが運んでくる。
1月なので「睦月」のお題が付いている。




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食前酒(左のぶどう酒)と先付け(真ん中の色々乗った豆腐)と前菜(上のおせちっぽいの)。いわゆるオードブル。

肉とブロッコリーは「強肴」といって酒を飲むためのつまみらしい。私は酒は飲まないがたしかに酒には合うと思った。

肉は福島牛で十切れくらいペロッといっちゃいそうな美味さだ。




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メイン料理。飯と味噌汁は自分で並べたので適当。多分逆だ。

刺身やかにや山芋は馬鹿舌でも美味いと認識できたが、焼き魚(鰆)が冷たかったのが残念。焼き立てを食べたかった。

米は会津産コシヒカリで一合くらいのおひつに入っている。厨房に電話すればおかわりできるが、おひつの量で充分だった。

余談だが米を残すと「お百姓さんに申し訳ない」と親父にひどく怒られた。なのでよほどのことがなければ残さない。




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夕食を食べ終え、厨房に電話すると仲居さんが食事の片付けをすると同時にデザートを持ってきてくれる。

デザートが運ばれたタイミングで朝食の時間を聞かれ、以降部屋には伺わないのでゆっくりお休みくださいと伝えられた。

布団はあらかじめ寝室に敷かれ、必要以上に干渉しないのが宿の理念らしい。かといってサービスが無味乾燥なわけではなく、既に触れたようにこちらが気が付かないうちにごく自然に手を焼いてくれる。

飲み終えた湯のみやコーヒーカップなど、いつ持って行ったか気がつかないほど絶妙な片付けっぷりだった。
その辺、素人には分からないノウハウがあるのだろう。




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朝食。蓋を取り忘れたが黄色いおわんの中身は湯豆腐。
飯と味噌汁は私が適当な隙間にねじ込んだので配置は適当だ。

しかし朝食でこれだけ器が多いと後で洗うのが面倒だろう。いつも鍋一つで済ませる自分の惨めな食事とは雲泥の差だ。

朝食の鮭は温かくて脂が乗って美味しかった。




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羽織りを来て上座に座ると、こんな私でも多少サマになる。
それでも顔をさらすのは恥ずかしくてモザイクを掛けざるを得ないが。




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一夜で大雪となったためタクシーの手配を頼んだ。

自分から頼んだので当然料金を払うつもりだったが、宿と契約しているタクシーとのことで帰りも無料だった。
そういうところを無駄にアピールしないのがまさしく高級宿だ。




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帰りも皆さん総出で送り出していただいた。

静楓亭は名前のとおり静かで楓の花言葉のように「大切な思い出」を客にとどける素敵な温泉宿だった。

冒頭で書いたように今回の年始旅行は静楓亭を旅のメインにし、それ以外の旅程を静楓亭にあわせるように組んだ。
それだけ期待するところが大きかったのだが、はからずも期待以上の素敵な宿泊となった。運にも恵まれたと思う。

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2016年12月 7日 (水)

奥鬼怒の温泉宿「川俣一柳閣」

辺境の静かな温泉宿に憧れ「川俣一柳閣」を予約した。
一柳閣は温泉宿では珍しく一人で宿泊でき、露天風呂が豊富で貸し切りしやすく、また夕食が部屋食なのが魅力だ。


川俣温泉一柳閣 TEL0288-96-0111
・栃木県日光市川俣40-3
・宿泊日:2016年12月4日(日)
・プラン::るるぶトラベル【JTBセレクト】のんびりステイ◆レイトアウト11時の21時間ステイ♪ご夕食は部屋または個室食事処

※川治温泉駅の付近に「一柳閣本館」という旅館がありますが、こちらは伊東園グループが経営する旅館で川俣一柳閣とは無関係です。

ぼっちdeだいじょうぶ度(5段階)
・館内  ★★★ロビーの椅子などは2人掛け以上がデフォ。
・客室  ★★★他の客室と間を空けてくれる。閑散期★5
・大浴場・露天風呂 大浴場★2。露天★4.5。団体客は大浴場に流れる。露天は内鍵付きの貸切風呂が3つある。
・夕食  ★★★★★部屋食
・朝食  ★★宴会場で一堂に食べるので敷居は高い。他に客がいなければ部屋食にしてくれるが保証は無い。



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公共交通機関の場合、鬼怒川温泉駅(※)から女夫渕(めおとぶち)行きのバスに乗り、「一柳閣前」で下車する。
鬼怒川温泉駅から約90分の道のりだ。

★女夫渕線ダイヤ・運賃等
日光市営バス

※鬼怒川公園駅、新藤原駅、川治温泉駅、川治湯元駅にも停車する。




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バスの車内(最後部)から撮影。座席数は30ほど。

路線バスなので座席は狭く、寝るには少々厳しい。
途中の青柳車庫前で9分間休憩する。トイレ・自販機あり。




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バス停の目の前から玄関への道を行き、ドアを開けるとフロントがある三水館5階に入る。

一柳閣は通常期の宿泊客を受け入れる「三水館」と時期限定で開放される「三雅(みやび)館」からなり、外廊下で繋がっている。

チェックインとチェックアウトは三水館5階のフロントで行う。




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フロントの男性に今回泊まる3階の303号室へ案内してもらった。

この日は冬の平日前ということで宿泊客は私だけだった。辺境の温泉宿がより静けさを増し、私にとって理想の宿泊となった。




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玄関の右手は洗面所とトイレ。
部屋に風呂は無いため、入浴は三水館1階の男湯と女湯の大浴場、または貸切3箇所を含む男女別の露天風呂で行う。

床は若干ミシミシと鳴り、トイレのドアは静かに閉めないとうるさい。




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部屋は12畳+踏込0.5畳+次の間4畳+広縁4畳(だと思う)。

一人だとさすがに広い。
もっとも広いからこそ贅沢さや非日常さを感じるともいえるが。




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広縁には椅子とテーブルと灰皿。
奥の椅子の後ろには冷蔵庫が置かれている。




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広縁側から見た部屋の様子。
全ての部屋が渓谷側に面している(窓が設けられている)ため、縦に長い形状なのが特徴だ。




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冷蔵庫の中はアルコール類やコーラなど瓶詰めの飲料が入っており、飲んだ分の料金を支払うシステムになっている。

冷蔵庫の上にはグラスと栓抜きが置かれている。
いかにも旅館らしい。




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お茶はナイロンのような目の細かい袋に入ったティーパックと茶葉が置かれ、それぞれに急須と湯飲みが用意されている。
また夕食後は使用した急須と湯飲みを交換してくれる。

人の手がこまめに入るサービスは旅館ならではだろう。




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お茶受けのせんべい。
出来合いの物ではなく旅館向けの製品である旨が印刷されている。細かいながらも嬉しいこだわりだ。




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こうした玩具も旅館ならでは。
ほかマッサージ棒や大量の車輪を転がしてツボを刺激する怪しげなマッサージ器もあった。




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湯のみはこれでもかというほど入っている。
しかも夕食後に全て交換しに来る。



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窓からの眺め(翌朝撮影)。

奥の建物は旅館「仙心亭」。2人からの宿泊しか受けてないようだ。
下の屋根は川俣一柳閣の露天風呂。各露天風呂への通路は屋根が通っているので雨でも安心だ。




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夕食。仲居さんが6時頃部屋に持ってきてくれる。

品数は多いが奥の鍋の肉(猪だったかな)と湯葉の刺身以外、取り立てて目を引くものはない。しかし器が多くて見栄えが良いので視覚的に楽しめ、おいしいモノを食べた気持ちになる。




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朝食。7時半か8時のいずれかを選ぶようにいわれ、7時半にした。

朝食は原則的に朝食会場での提供だが、この日は宿泊客が私だけだったので特別に部屋での提供となった。

たまたまとはいえ2食とも部屋食は幸運だった。




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貸し切り用の露天風呂(檜風呂)。夜撮影した。
内鍵が掛かるので完全に貸し切りできる。

この檜風呂はくりぬかれた檜の幹から湯が出ているため、湯船に細かい木の皮が入ってくるのが特徴だ。ほか二つの貸切露天風呂はともに岩風呂で、岩が風呂桶の形にかたどられている。




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大露天風呂。10人は入れる広さだ。これも貸し切りだった。

この広さの天然温泉の露天風呂を一人で好きなだけ入れたのは究極の贅沢だった。一泊5万の宿でも無理だろう。




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目の前は渓谷。冬の夜なのに身体はポカポカ温かく、見上げれば満天の星空。

あまりに非日常的すぎて幸福感がリアルタイムに湧かなかった。徐々に心が至福に満たされる感じだった。
あらためて素晴らしい体験をしたと思う。




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露天風呂の通路から三水館を見上げる。

真ん中のオレンジ色の明かりの部屋が私が泊まった303号室。その上の光はフロント階の明かり。




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朝食後のコーヒータイム。

今回はあまりに特別な状況すぎて一人旅の情報としてはあまり参考にはならなかったと思う。

仲居さんの話によれば冬は最も客が少ないそうなので、辺境の温泉宿で一人旅情に浸りたければ、冬の平日や平日前の休日に狙いを絞ってはどうだろうか。

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