徘徊老人
深夜、何気なく外に出たら鈴虫の鳴き声が聞こえた。川のそばで鳴いているのかなと自転車を走らせると、近くの交差点に人影を見つけた。
暗くてよく見えなかったが身長150センチくらいの小柄な老婆(?)で、両手に袋のような物を持ち、やじろべえのようにゆっくりと体を左右に揺らしながら歩いていた。
長い髪は遠目に見てわかるほどボサボサに乱れ、歩き方と相まって不気味さを放っていた。もし誰も来ない山道で遭遇したら恐怖で凍り付いただろう。
どんな人なのか気になったが、近寄って確かめるのは憚られたので引き返して家路についた。おそらく徘徊老人だろう。そう思うことにする。
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