年月の流れ
ドライブの帰り道、昔ちょっとした出来事があった農道を通った。
19歳の頃、ある農道を自転車で通りかかった際、一人の女性が道に迷っているところに遭遇した。聞くと駅に向かうバスの停留所が分からなくなったという。
灯りの無い農道で途方に暮れる彼女を無視するわけにもいかず、私は自転車の後ろに乗せて駅まで送ることにした。川越在住という彼女は私と同い年で、裁縫の試験を受けた帰りとのことだった。
特別綺麗ではなかったが、長い黒髪のしおらしい性格で、女性を自転車の後ろに乗せるのは初めてだったこともあり、胸がときめいたのを覚えている。
彼女は今ごろ孫がいてもおかしくない年齢になっている。だが私の記憶では彼女は当時のままなので今の姿は想像もつかない。
かの農道は当時の面影を残し、すぐに分かったが、今の彼女はもし街ですれ違っても気が付かないだろう。年月の流れは対象によって感じ方が変わるのかなとふと思った。
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