作品紹介:R-TYPE(アールタイプ)
【タイトル画面 金属的な質感が新時代の到来を予感させた】
■R-TYPE 1987年 発売元:アイレム
R-TYPEはコナミのグラディウスやタイトーのダライアスと並び、「横シュー御三家(※)」と称されている。その御三家では最も後に発売され、かの時代において他二作とともに栄光を築き上げた、今なお名作の呼び名が高い作品である。
(※)横シュー:横スクロール型シューティングゲーム
【1面はチュートリアル的な面構成をしている】
バブル全盛の1987年、R-TYPEは新たな要素を満載し登場した。
まず自機周りでは「無敵のフォース」。最大の威力を持つ反面チャージ中は攻撃できない「波動砲」。障害物に反射する「反射レーザー」など。その他では巨大戦艦や輸送コンテナ群の隙間を縫い進むステージ構成など、バラエティに富んだ敵やギミックが多くのプレイヤーを惹きつけた。
【2面ボス 自機と無関係に動く敵は動きが読みにくい】
この記事では他ではあまり目にしない本作の特徴として、敵の性質を巧みに使い分けている点を挙げたい。
R-TYPEの敵は大きく分けて二つに分類される。
一つは自機をめがけて攻撃する敵、もう一つは自機とは無関係に攻撃する敵である。そしてR-TYPEはこれらの混合により難易度をコントロールし、奥深いゲーム性を構築している。
「自機をめがけて攻撃する敵」は敵の攻撃してくる方向にフォースを装着すれば脅威にならない。それを地で行くのが1面で、1面の敵は大半が前方から自機を狙って攻撃してくるため対処は容易である。
【2面 大量に飛来するウッキーはたまに自機を襲ってくる】
2面の中盤にウッキーという敵が登場する。
ウッキーは「自機とは無関係に攻撃」してくるが、「自機をめがけて攻撃」することもある。そのため常に突然死の可能性が付きまとい、難易度の引き上げや武装の選択を広げることに貢献している。
またここでは自機とは無関係に攻撃してくるガウパーやゾイドが同時に出現するため、様々な方向に注意を払わなければ安全には進めないようになっている点に注目したい。
【3面 画面に収まらない超巨大戦艦と対峙する】
【4面 殻を生み出しながら飛来するスカルトロンが脅威】
3面はジェット部と砲台の一部とコアが「自機とは無関係に攻撃」し、その他が「自機をめがけて攻撃」してくる。
またそれらに加えて初見殺し(※)が多々盛り込まれているため、まぐれでは進めないようになっている。いわゆる“パターン作り”が必要となる最初の面である。
4面は殻を生み出しながら飛来するスカルトロンが二つの攻撃タイプの複合型で、しかも障害物の殻を置き去りにするため、この対処が4面攻略の最大の柱となる。またこの面からフォースの付け替えに素早さと正確さが求められるようになる。
このようにR-TYPEでは敵の二つの攻撃タイプが難易度のコントロールを担っているのが分かると思う。
(※)初見殺し:初見では対応できない敵の突発的な攻撃
【5面 地形ミスが無い代わりに死角からの攻撃にさらされる】
【6面 輸送コンテナは多くのプレイヤーの障壁として立ちはだかった】
以上で攻撃タイプの説明を終え、各面の一般的な解説に入りたい。
5面は大半のプレイヤーが4面とセットで攻略する形になると思われる。理由は4面のアイテムを取得すれば5面を完全装備で臨めるため、4面の安定化は同時に5面の安定化に繋がるからである。
6面はかつて開発者が語ったように誰もが壁となる面だろう。(※1)
だが壁となるのは緻密なパターン化を要する面構成だけではない。この面でミスすると以降ビットが一つしか取得できなくなるため(※2)、8面でゲームオーバーになる可能性が高くなる。つまりミスが許されないことが6面の大きな壁となっているのである。
(※1)開発者はかつてゲーム誌で「上手な人でも6面で終わってもらうように作った」とコメントしている。
(※2)7面ボス戦でビットを取得できることがあるが、アイテムの降下や種類はランダムなので可能性は低い。
【7面ボス 難所と直後の安全地帯は飴と鞭を思わせる】
【8面ボス(ラスボス) ビットが二つあれば最も楽に倒せるボス】
いっぽう7面や8面はミスしたら復活はほぼ絶望的、逆に装備が完全なら簡単に進める両極端なゲームバランスになっている。
7面は早い話が1面を高難度化した面で、一度パターンを習得すればミスすることは殆どなくなる。敵の種類や性質もほぼ1面と同じである。
8面はあらゆる方向から敵が襲ってくるため、まともにプレイするとアドリブが絡み難しいが、ビットが二つあれば道中はもちろんボスすら安全地帯で倒すことができる。お金持ち(フル装備)にはとことん優しく、貧乏人にはとことこん厳しいのが格差社会を表しているようで興味深い。いや多分気のせいだろう。
話は戻るが、つまりR-TYPEは6面をフル装備で抜ければクリアはほぼ確定したといっても良い。この辺の大雑把さが玉に瑕かもしれない。
いま改めてR-TYPEを遊ぶとそのゲーム性の高さに驚く。
R-TYPEは5面のボスを除き、全ての箇所をどの装備でも切り抜けられるようになっている。最も役に立たないといわれる対地レーザーでさえ3面の下部ジェットパーツを最速で破壊できるし、6面のニュートなど地形沿いの敵にはめっぽう強い特性を持っている。
武装の選択の幅を広め、様々な可能性を探す楽しみを与えてくれた点においても、R-TYPEは優れたゲーム性を持った作品だといえるだろう。
R-TYPEは今年で発売28年を迎えた。
昨今70年~80年台の文化が見直され、当時のゲームや玩具などがメディアにクローズアップされる機会が増加している。そして現在オールドゲームは発売時にまだ生まれていなかった若い世代の人にもプレイされるようになった。
彼らはR-TYPEをどう見ているのだろうか。
そのことも含め、R-TYPEへの興味はいまだに尽きない。
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