フェリーさんふらわあ「さつま」 デラックスB(和室)乗船記
閑散期の5月30日、鹿児島志布志港と大阪南港を結ぶフェリーさんふらわあ「さつま」のデラックスB和室に乗船した。
今回デラックスB和室を選んだ理由はおもに3つある。
① ファーストシングルの部屋割りが窮屈
② 入浴設備がデラックスB以上の客室にしかない
③ 和室の客室に乗りたかった
船名:フェリーさんふらわあ「さつま」
乗船日時:2015年5月30日(土)18時30分~翌31日8時50分
乗船区間:志布志港→大阪南港
客室等級:デラックスB和室(218号室)
乗船人数:一人
利用プラン:大阪⇔志布志航路 徒歩シングルルームプラン
運賃:上記プランにより15,600円。
鹿児島中央駅からさんふらわあライナーで志布志港に到着した。
さんふらわあライナーは鹿児島中心部⇔志布志港間で乗船客を送迎する専用バスで、事前に予約した乗船客のみ無料で乗車できる。無料期間は2017年3月末まで(2016年9月時の情報)。
乗船は出航1時間前の17時半から行われた(土曜出航便)。
出航時間や到着時間は航路や曜日で細かく変わるので注意。
※シャトルバス「さんふらわあライナー」
※さんふらわあ「航路・時刻表」
エスカレータを上がって船内へ。
この日は多数の空きがあったようで隣室はどちらも空室だった。
フェリーはやはり閑散期に乗るのがベストだ。
客層は職業ドライバーとオートバイのライダーなど弾丸フェリー利用者と思われる人たちが半数ほどを占め、その他の乗船客は大阪航路のためか関西弁で話す人が目立った。
6階ロビー前。太平洋フェリーと比べると雑多で狭い印象。
ただしそれはフェリー同士で比較した場合の話。他の交通機関には広さで圧倒している。軒並みだがまさに動くホテルだ。
今回の客室は7階船尾側の218号室(■)。
客室は6階と7階に分かれ、デラックスとデラックスBは7階の外郭に位置し、内郭はラウンジやツーリスト区画になっている。
各部屋を結ぶ通路は薄暗く陰鬱な雰囲気で、客室というより病棟や社員寮をイメージする。
独房のような無骨な鉄扉を開けると、中は狭そうながらもちゃんとした和室になっており、ひとまず安心する。
部屋の中から入口方向を見る。
右の壁際には靴用ブラシと靴べらが掛かり、左のクローゼットには下駄箱や衣服入れ、そして救命具が収められている。
有効スペースは5畳程度。
そのスペースにテーブルと布団があるので、実際はさらに狭い。
「2~3人用」の部屋らしいが2人が限度だろう。
テレビは地上デジタル番組とBS放送を受信できる。停泊中はともに視聴可能で航行中はBS放送のみ視聴できる。
今回は正規運賃36,000円(運賃24,000円+貸切料金12,000円)のところ、「徒歩シングルルームプラン」により15,600円で利用した。お盆などの繁忙期は適用外だが、正規運賃より割り引かれる上、貸切料金不要なので、一人で使うなら十分にお得といえる。
部屋割り図によると広さは8畳なので面積は13.23平米になる。
13平米というと5,000円~6,000円の価格帯のビジネスホテルのシングルルーム(12~15平米程度)と同程度だ。それを2~3名で使えば狭く感じるのは当然だといえる。
だがこちらはビジネスホテルには少ない和室タイプで、二組分の布団が用意され、さらに宿泊と移動を同時に行えるのがホテルには無い強みだ。また先述の徒歩シングルルームプランで考えると、宿泊費を6,000円相当とすれば9,600円で移動できることになる。しかもさんふらわあライナーを無料で利用できる。
布団とマットレス、浴衣は二組、未開封のタオルが2本備わっている。タオルは他にも浴室にバスタオルが2本備わっている。
布団は綺麗だ。畳には若干の染みが目立つものの、ゴミや埃はなく清掃が行き届いている印象を受けた。
障子は両開きに開放できる。写真はいっぱいまで開けた状態。
夕方出航して朝早めに到着するので、外を眺める機会は多くない。
バス・トイレの鉄扉は不意の開閉を防止する磁石が恐ろしく強力で、一度扉を磁石に付けると、力を込めて引っ張らなければ剥がせない。年寄りとか大丈夫なのかなと心配になる。
タオルは足拭きが一枚とバスタオルが二枚、トイレはウォッシュレットで便座除菌用のクリーナーが別に置かれている。
洗面台にはコップと歯ブラシが1つずつ。
2~3人部屋なのに1つずつしか備えられていないのは一人利用だからと思われる。ドライヤーは壁に設置されている。
洗面所の蛇口は水量の調節が難しい。少しひねっただけでは出ず、ある程度までひねると突然ジャバーッと勢い良く出る。
シャワー室はカーテンレールの臭いは無く、清潔な印象。
ただしシャワーが最悪だった。
針のような細さの水が数本しか出ず、温度を上げてもなかなか温まらない。注意書きには「シャワーの水温が低いときは10分程流しっぱなしにしてください」とあるが、10分流してもぬるま湯にしかならない。
蛇口側に切り替えるとズドドドドーッと勢い良く出るのに、シャワー側に戻すと針のような細さの水が数本しか出ない。だからといってシャワーの水量を上げると細い水が高圧で射出されるので、間違って局部に当たると飛び上がって悲鳴を上げるほど痛い。
結論をいうとシャワーは役に立たなかった。
蛇口の下に頭を突っ込んで流したほうが楽だし早い。
棚には目覚まし時計に除菌スプレーとティッシュ。
テレビのリモコンの下には船内の案内が置かれている。
除菌スプレーは洗濯乾燥できない場所では助かる。
それにしてもここには置かれているのに、太平洋フェリーではロイヤルスイートルームにすら置かれていないのはなぜだろう。
お茶と電気ポットはテレビの下の戸襖を開けた中に入っている。
お茶はティーパックで味はそれなり。冷蔵庫がないのでアイスや冷たい飲料の持ち込みには適さない。
電気コンセントの空きは一箇所。
電気ポットを使わなければもう一箇所使えると思う。
以上がデラックスB和室の紹介。
徒歩シングルルームプランなら十分にお得だが、貸切料金込みの正規運賃で乗る価値があるとは思えなかった。
なお218号室は船尾側の甲板出入口に近いため、甲板に出入りする際の扉の開閉音がもろに部屋に響く。荒っぽい開け閉めをされると轟音とともに軽い振動が来るので、予約の際は注意してほしい。
以下、パブリックスペースなどを紹介。
受付は20時半~6時半(曜日により21時~7時)以外の時間帯に営業。
自販機類は充実している。冷凍食品やアイス、飲料やカップ麺など、夜間でも飲食に困らないようになっている。
アルコールの販売は夜間は行われない。なお喫煙室は6階にある。
レストランは夕食は1,540円~620円、朝食は620円~310円と年齢別に細かく設定されており、朝食の安さが目を引く。
今回は駅弁を持ち込んでいたので利用しなかった。
ゲームコーナーはパチスロにUFOキャッチャー、ビデオゲームに記念メダル機といったラインナップ。メダル機は故障中だった。
★最後に注意点
大浴場は入浴時間が短く、おおむね21時~21時半には閉まり、翌朝は6時~7時半以降にならないと入れない。
そのため時間帯によっては閑散期でも混み合う。洗い場がさほど広くないので、まず洗い場を確保するために待つことになるかもしれない。今回は実際そうなったので部屋のシャワーで済ませた。
5月31日の朝6時。目の前の島は徳島県の伊島と思われる。
位置的には徳島県の蒲生田岬と和歌山県の日ノ御埼を結んだ辺り。
7時25分。淡路島を通過した辺りから天気が良くなった。
この日は全国的に晴れたようだ。
8時20分、大阪南港に着く直前。
いくつか微妙な点はあったにしろ、静かな時期にリーズナブルな料金で和室に泊まれたので、個人的には満足できた。
ちなみに就寝は21時過ぎで起床は4時過ぎだった。
エンジン音がそこそこ響いてきたわりに熟睡できたのは、普段寝慣れている和室だったからかもしれない。
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