日本列島南から北へ - 空と海の旅 鹿児島編 -
2015年5月28日~6月2日の間、空路と陸路と海路で日本列島を南から北へ巡った旅の記録を紹介。
大阪行きのフェリーが欠航したり、旅先では自宅の埼玉で震度5の地震が起きたり、様々な波乱があった。
鹿児島への空路はJALのダイナミックパッケージを使った。
これは同じ空港から行き来し、かつホテルに1泊以上するとお得になるツアープランで、最初と最後が同じ空港なら、今回のように羽田→鹿児島、新千歳空港→羽田の経路でも問題ない。
写真はeチケット。ネットで申し込んだ際チケットの代わりになるもので印刷して持参する。当日空港の手荷物検査場と搭乗口でバーコードをかざすだけで搭乗できる。
羽田を飛び発ち、たった15分で富士山が見えた。
飛行機は飛ぶまでが面倒だが飛んでからは早い。
この日の鹿児島は晴れときどき曇りの予報。
ところが鹿児島空港の案内所で予報を聞くと午後から雨だという。
ここに居ても仕方ないので鹿児島中央駅へ向かうことにした。
バス乗り場は空港を出てすぐ左。運賃1,250円、所要時間40分程。
市電と西郷さんの街に来た。時刻は11時過ぎ。
西鹿児島駅はいつの間にか鹿児島中央駅に改名されていた。
西大山駅と周辺のスポットに行く予定だったが雨だ。しかし雨でも駅には行けるので予定通り指宿枕崎線に乗った。
12時5分発枕崎行きは木曜昼なのにまさかの混雑だった。
買い物帰りのおばさんと酒浸りの爺くらいしか乗ってないだろうと思ったので、完全に裏をかかれた。
2両編成の列車はボックスが全て埋まり、20人ほど立ち客が出た。
とはいえ混んだのは最初の20分だけで、平川駅で一気に下車してからは年寄りが数人だけのローカル線らしい雰囲気になった。
JR最南端の西大山駅。奥の踏切が最南端の西大山踏切。
雨が強いので頭にタオルを被り、三脚を据えたカメラを屋根の下にセットしてセルフタイマーで撮影した。
開聞岳の展望スポットは山の反対側になる。
雨足が強く向かうのは無理なので、40分後に来る枕崎からの列車で引き返すことにした。
駅ノートを書いてくつろいでいると、突然大型バスと複数の乗用車が駐車場に入ってきて、まるで揚陸艇から強襲してくる兵隊のように乗客たちがなだれ込んできた。
なんだなんだどうしたどうしたと呆気に取られていると、どうもバスツアーと撮り鉄が同時に押し寄せたらしい。乗り鉄くらいしか来ないと思ったら案外メジャーなスポットのようだ。
鹿児島中央駅に戻ると雨はすっかり上がっていた。
今から観光する気になれないので、ホテルへしけ込むことにした。
ホテルまでは1..5km程度なので歩いた。
旅先では2~3kmくらいなら歩くことが多い。旅先を自分の足で歩くと、そのとき見た町並みや風景が乗り物で移動したときより後で鮮明に思い出せるからだ。
写真は天文館といわれる繁華街。
名古屋でいう大須、東京でいう渋谷に近い。平日の夕方前なのでこの程度だが、もう少し経てば歓楽街として賑わうだろう。
HOTEL RESIDENCE 南洲館
JALのダイナミックパッケージで選んだので、詳細は何も知らずに決めた。この宿には良い意味で期待を裏切られた。
部屋は非常階段横の角部屋(601号室)で、奇しくも太平洋フェリーのロイヤルスイートと同じ部屋番号だった。
ステイ型の客室で洗濯機とミニキッチンが備えられていた。
同じ階には1時間100円で使える乾燥機が置いてあるので、食事と買い物以外で下に降りる必要がなく、出不精には嬉しい。
一目広いと分かる。しかも床が畳だ。
実は翌日大阪行きのフェリーが欠航してここに駆け込んだとき、初めてこの部屋が一泊5,400円だと知った。
大都市圏でこの価格だと狭くて壁が薄いアパート並みの宿しかないし、ましてバス・トイレ付きで畳の部屋などまず無い。
窓側から玄関方向を見る。畳の香りが気持ちよい。
ランク的には1泊1万5千円以上のホテルには及ばないが、一般的なビジネスホテルは遥かに凌駕している印象だ。
カメラを少し右に振る。
テーブルの前には椅子と化粧台が置かれ、壁はシラス壁という天然素材で仕上げられているそうだ。壁に近寄って見ると、刷毛の形が扇形の模様を描いて塗られているのが分かる。
ステイ型にしては凝っている。しかも二人は楽に泊まれる広さだ。
バス・トイレは普通のビジネスホテルと変わらない。
ただしシャンプーやボディソープはメーカー物のボトルが備え付けられている。経費を切り詰めまくったビジネスホテルと一緒にするなというプライドが見えるようだ。
この手のホテルの掃除の質はユニットバスの仕切りのカーテンの匂いでおおよそ分かる。上っ面が綺麗でも、カーテンがカビ臭いホテルは間違いなく掃除を手抜いている。
南洲館は問題なかった。安心して泊まれる宿だと思う。
ベランダから見た夜景。
西郷隆盛像が肉眼で見える(青○)。また西郷隆盛の像からも南洲館の看板と建物がよく見える。
翌朝の朝食。和食と洋食から選べる。
撮影後に黒豚のしゃぶしゃぶとスクランブルエッグが追加で出た。
この風予報は鹿児島では重要らしい。
「鹿児島では目医者とクリーニング屋が儲かる」と言われるそうで、レンタカー会社の人の話では噴火翌朝のスタンドの洗車場も行列になるそうだ。たしかに市内の車は屋根に灰が積もった車ばかりだった。
2日目(5月29日)の朝。この日の予報は晴れ。
桜島に行くため鹿児島中央駅でレンタサイクルの手続きへ。
※JRレンタサイクル「楽チャリ」。
みどりの窓口で料金を支払い、駅西口のJR駅レンタカーで借りる。
料金は2時間まで500円、4時間まで1,000円、4時間以上が1.500円。利用は9時から17時まで。要身分証明書。
自転車は桜島でも借りれるが電動ではないのでお薦めしない。
桜島は坂が多く、積灰で走行ロスが大きいので電動でないときつい。
それに自転車をフェリーに乗せてもわずか270円だし、下船後にそのまま自転車で観光できる。やはり楽チャリが便利だと思う。
桜島フェリーは薩摩半島(鹿児島中心部)⇔大隅半島をショートカットできるので観光客以外の利用も多い。
このフェリーは多いときは一時間に6本という過密ダイヤで運行される。そのため離岸と接岸が異常に速く、特に接岸は神技的な速さと正確さだ。乗船の際はぜひ先頭でその技を目にしてほしい。
料金の清算は桜島に着いた先の料金所で行う。
ダイヤが過密なので船内での徴収は運航に支障をきたすのだろう。優れたシステムだと思う。
料金所から地図③辺りまでは車道と歩道が分離している。
地面の白っぽいのは積もった火山灰で、桜島の道路は車が通るたび積もった灰を巻き上げるので、車道と歩道が分離されていないと歩行者は大量の灰を浴びてしまう。
烏島展望台。ほかにもいくつかの展望台がある。
この煙、後で城山の売店の人に聞いたら噴火だったらしい。
バス停は噴火の落下物を避けるためか頑丈な造りをしている。
またこれと似た避難壕もあちこちに点在している。
桜島は今年(2015年)に入って600回以上噴火したそうだ。
展望台の先で車道と歩道が一緒になり、車が巻き上げた灰と降灰で頭から灰まみれになった。しかもカメラのレンズの鏡筒に灰が入ったらしく、回すとジョリジョリする。目も開けていられなくなってきた。
これ以上進むのはきついので、カメラをしまって引き上げる。
固まった溶岩上に作られたという「溶岩なぎさ遊歩道」。ここは車が入れないので、海と行き交う船を見ながら静かに散策できる。
個人的にお薦めのスポットだ。
なお風上にいけばこの通り。灰も来ないし青空が広がっている。
下船後、自転車の返却まで時間があったので桜島展望地の城山に上った。ここも坂がきついので自転車は電動でないときつい。
雲と噴火の影響で頂上が見づらかったが、確かに眺めは良かった。
夜景も綺麗そうだ。
売店の「火山灰アイス」が目を引いたので食べてみた。一個320円。
火山灰と溶岩を模したアイスで、もちろん灰は入っていない。
他に客がいなかったので店の人と長らく話し込んだ。
洗濯物は外に干せないとか鹿児島の人はおっとりしているという話は、売店の人をはじめ、すべて現地の人たちから聞いた。温和な人が多いのでこちらから話したくなる魅力が鹿児島にはある。
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この後自転車を返し、志布志港行きのバスを待ったが、発車時刻を過ぎてもバスが来ない。周りを見ると乗船客が運転手と話しており、聞くとエンジントラブルでフェリーが欠航したという。
「別の方法で移動するか翌日以降の便に振り替えるかサービスセンターと交渉してほしい」というので電話で交渉すると、翌日の同等級の部屋に空室があったので振り替えてもらった。ほかの人たちは志布志で宿を取ったり、新幹線で帰ったという。
その後が大変だった。
大阪→名古屋の高速バスと名古屋のホテルをキャンセルし、今夜の宿を見つけなければならない。しかも運が悪いことに金曜(休前日)はホテルが最も混む。
最悪2万まで覚悟するか…と昨日の宿に駆け込むと、なんと空室があるばかりか希望するなら昨日の601号室を手配するという。昨日の部屋なら8,000円くらいだと思ったので頼むと5,400円だという。『そんなに安いの!?』と声にして驚く。
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かくして危機を脱し、黒牛ステーキ弁当で一人祝杯を上げた。
結果的に鹿児島に一日長く滞在し、名古屋での滞在が一日短くなったが、これでよかったと思う。鹿児島は居心地が良い。
この日、口永良部島が噴火して住民が全員退去した。
関東では震度5の地震が発生し、交通網が一部麻痺したという。
大震災のときも壁に多少ヒビが入って水槽の水が少しこぼれた程度だったので、気にせず旅を楽しむことにした。
旅先ではニュースとテレビショッピングばかり見ていた。
深夜時間帯や海外のテレビショッピングの胡散臭さが面白い。
ジャパネットたかたは今年の始めに社長を退いた初代社長がショッピングのトークからも引退するらしい。欲しくない物まで欲しくなる名物トークが聞かれなくなるのはなんとも寂しい。
旅行3日目、5月30日の朝。
昼から天気が崩れるのでホテルの自転車で朝の鹿児島を散策。
西郷隆盛像。宿泊したHOTEL RESIDENCE 南洲館からも見える。
石垣に開いた無数の穴は、1877年に西郷隆盛をはじめとする薩摩の武士たちと明治政府軍が西南戦争で戦ったときの銃弾痕。
昨日の噴火は落ち着いたようで、この日は桜島がよく見えた。
市電の観光レトロ電車「かごでん」。運賃は一律340円。
ボランティアのガイドが二人乗車し、貸切形態で運行される。
休憩先の鹿児島駅では線路に下りて記念撮影できる。この記念撮影は「かごでん」に乗った人の特権だそうだ。
続いて市内周回バス「シティビュー」に乗る。運賃は一律190円。
シティビューは仙厳園や天文館などを回って鹿児島中央駅に戻るバス。経路は城山・磯コースとウォーターフロントコースの2系統ある。
写真は別の市内巡回バス「まち巡りバス」で料金は一律160円。
短髪の親父はせごどん(西郷どん)、眼鏡の女性はあっちゃん(篤姫)。あっちゃんの絵が大きいので、このバスはあっちゃん号だ。
14時40分、志布志港行きバス「さんふらわあライナー」に乗り込む。
乗客はたった5人。このために高速道路を使って100km近い距離を無料(※)で行き来するのだから、慈善事業に近い。
(※)フェリー乗船客のみ無料(2016年3月まで)。要事前予約。
この後の記事は「フェリーさんふらわあ「さつま」 デラックスルームB和室乗船記」、「空と海と陸の旅 大阪~名古屋編」、「太平洋フェリーきそ ロイヤルスイートルーム乗船記」と続きます。
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