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2013年9月23日 (月)

酉谷山(東谷林道コース) - 三度目の正直 -

連休中日は4年前からリベンジを計画していた酉谷山へ。

当初、自転車を輪行して三峰口駅から大血川渓流釣場まで走る予定だったが、輪行だと荷物が多くなり秩父鉄道への乗り換えが厳しくなるのと、徒歩に比べて20分しか短縮できないので断念した。

酉谷山一回目(遭難編)の記事はこちら
酉谷山二回目(リベンジ編)の記事はこちら
四回目の記事はこちら




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中津川行きのバスを太陽寺入口で下車。
ここで降りる登山客は滅多にいないので乗客から奇異の目で見られた。

渓流釣場までは徒歩で向かった。




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うんざりするほど長い舗装路を1時間ほど上り大血川渓流観光釣場へ。
釣場から100mほど先の橋の左のゲートをくぐって東谷林道に入る。この林道を40分ほど上ると登山口に着く。

バス停から1時間40分歩いてやっと「登山道入口」なのだから、人気がないコースなのもうなずける。
帰りもこれを歩くのかと思うと心底うんざりする。




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林道は一部工事をしていたが、迂回路から通行出来た。




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林道の終点で登山道の入口でもあるクイナ沢橋。
橋を渡って右に行くと登山道に入る。

クイナ沢橋は相変わらず気味が悪い雰囲気を放っていた。
二回目に来たときはこの橋を渡った直後、全身にゾクゾクと悪寒が走ってすごく怖くなった。




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登山道に入る所。

5年前にはケルンが置かれ、4年前にはピンクテープ付きの木杭が設置されていたが、この日(2013年9月)は杭が倒されていて、目印といえるものは何もなかった。

ここは黄矢印の方向に進む。




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ルート図。
「東谷林道コース」を大雑把に書くと、登山口から熊倉山分岐までは道が一部崩壊していたりでわりと体力を使い、下りは迷いやすい箇所がいくつかある。一言で言うと面倒な区間。

熊倉山分岐から小黒までは登りはきついがさほど長くない。
ただし下りは地形的要因と人的要因により迷いやすく、東谷林道コースで起こった過去の遭難事故は小黒周辺に集中している。

小黒から酉谷山までは鞍部を経由する。
地図を見ると近そうだが勾配がきつくて登りは結構ハード。




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登山道から尾根の横をつづら折ると尾根に合流する。

熊倉山分岐まではこの尾根と現在歩いている道とがどういう位置関係にあるか、常に意識しておくと迷いにくい。特に下りでは迷ったときのリカバリーの速さにつながる。




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つづら折りは一部細かったり踏み跡が薄かったりで下りは特に迷いやすい。
ここ(大岩の南)も踏み跡が薄く、日が暮れると進路を見失う確率が高い。

行程が長いうえ迷いやすいことからアプローチを短縮したいが、バスの本数が少なかったりでうまくいかないのもこのコースが避けられる理由だと思う。




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登山道から40分ほど歩いた地点。
4年前、5年前と変わらず道が崩壊していた。

写真は崩壊箇所を渡ってから振りかえって撮影したもの。
ロープを使わず黄色のルートで抜けたが、ここより少し高巻いたところからもっと安全に下りれる。




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土砂崩れ地点(赤楕円)を前にする。

道は黄線のように折り返しているので土砂崩れは通らない。
この付近は林業のテープや尾根を直登する人が貼ったと思われるテープがあちこちに張られ、この先の切り株地帯では進路が大変分かりにくくなっている。




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地図再掲。熊倉山分岐。体力的にはここまでが一番きつく感じる。
ここから小黒までは地図上ではほぼ直線だが、一部道が不明瞭なので、念のためルートをメモリしてから進んだ。

メモリの方法を解説すると、現在地と進むべき地点との二点間にベースプレートの矢印(長辺)を沿わせ、次にそれを維持したまま地図の磁北とコンパスの磁北を合わせ(整置)、最後にカプセルを回してNマークと磁針を合わせる。

なおメモリした際に矢印が示す角度を覚えておくと安心だ。(上の写真では約130度)




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小黒へ向かう途中。

一部ヤブや倒木で道が分かりにくいが上りは特に問題ない。
尾根との位置関係を意識しながらピークを目指せばいい。





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地図再掲。小黒。
4年前に太い樹に貼られていた「小黒」を示すテープが無くなっていた。

この周辺は道迷いしやすいためテープがあちこちに貼られ、不正解ルートにも好き勝手に貼られている。




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小黒部分図。まずは上りの注意点から。
なお写真は東の尾根の入口。

熊倉山分岐から小黒まではなだらかな尾根を登るため小黒のピークの正確な位置を把握できないまま東の尾根に誘われやすい。しかもこの先にテープが巻かれているので尚更だ。ただしテープの先を進むとすぐに断崖に差し掛かるのでそのまま進んでしまうことは無いだろう。

ここでの登りのコツは小黒(ピーク)で方位を確認し、ピークから南にまっすぐ進むこと。それだけ心がけておけば大丈夫だ
余談だが、この日下りで会った年配者5人のグループも、4人がリーダーとはぐれ、この東の尾根に引き込まれていた。




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小黒と酉谷山の間にある大血川峠(鞍部)を越えたところ。

この先で道が不明瞭になるため看板は目印として活用したい。テープは目印にしてはいけない。テープを追って結果的に正解に行き着く場合でも危険なルートを通らされることがある。

登山道に貼られたテープは山岳会の方々などが貼った皆の目印として機能する公共的なテープと、個人が新ルート開拓やピストンの目的などで貼った私的なテープがある。林業用のテープも一般ルートと無関係な所に貼られていることが多いので後者に分類されるといえる。

この区間は私的なテープや缶やペットボトルを枝に差した目印が乱立しているので、地形的な難しさと相まって迷いやすい。




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13時20分。
バス停から4時間半歩いてようやく頂上が見えてきた。

矢岳の北西尾根より楽だろうと思っていたが考えが甘かった。「くー」などと奇声をあげながら転げるように頂上へ倒れ込む。




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疲れきってピースをする気力すらないshigeもうすぐ43歳。

時刻は13時30分。
酉谷避難小屋で水の補給とノートへの書き込みをしようと思ったが、終バス(17時4分※)に間に合わないのと飲料に余裕があったことからこのまま下山することにした。

※バス停に着いてから17時48分が終バスだったことを知った。




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小黒部分図再掲。
小黒→熊倉山分岐へ下る際の解説。

まずテープを信用してはいけない。
テープの存在自体を無視し、テープ通りに進めば何とかなるという期待を捨て去るのが大前提。


「小黒からの下りが迷いやすい原因」
■目指す西の尾根が尾根に見えないほどなだらかで、倒木に遮られているため正解ルートに見えないこと。対して北の尾根への道は明瞭かつ歩きやすいためこちらに誘われやすいこと(地形的要因)
■至る所にテープが巻かれていること(人的要因)

対策としては、倒木が邪魔で西の尾根方向に直接進むのは厳しいので、はじめは北の尾根方向に進む。ただし北尾根に入ってはいけないし越えてもいけない。北の尾根の方向に流されつつ、コンパスで西(正解ルート)への進路を見ながら進む。北の尾根は「これ以上近づいてはならない境界壁」とみなし、位置を把握するための目印として活用する。




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北の尾根に近づかないよう西への復帰を目指すが、北の尾根はしつこく誘ってくる。

この後、北の尾根と一定の距離を置きながら進むにつれ、北の尾根と西の尾根との間の“谷”の形がハッキリしはじめる。そうなればもう大丈夫であとは西へ向かえばいい。

予備知識も無くここでガスったら不安が不安を呼び、恐怖に襲われると思う。実際二回目はここでガスってトラウマ級の恐怖を植え付けられた。こういったところが小黒周辺に魔物が潜んでいると思いたくなる所以かもしれない。

初めて来たときは登山地図しか持参しなかった。あらためて現地を見ると登山地図だけでは迷って当然の場所だと思う。
ということで地形図とコンパスは必要。落とすと窮地に陥るので予備を持つか落下防止策を施したい。

地形図は国土地理院のサイトから入手できる。
在来版のプラグインページならたいていの環境でプリントアウト出来る。コンパスはオイル封入式のコンパスがほしい。




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もう少しで西の尾根の明瞭な箇所に出るので倒木を乗り越えて進む。
正解への方向さえ分かれば、後は強引に進んでも問題ない。

一回目は無謀にも登山地図しか持たず、案の定北の尾根に迷い込み、かじっただけで分かったつもりになっていたベースプレートコンパスの使い方を誤り、結果的に遭難した。

二回目は一回目の教訓として迷いそうな所にテープを巻きながら進んだが、対策としては良くなかった。理由はテープを巻く場所の選定とその作業、また不要テープの回収に時間が掛かり、残置するテープが次来たときに残っているとは限らず、残っていてもそれが自分のテープだという確信が持てないこと。つまりその場限りの方法でしかないこと。

一回目は無謀。二回目は独りよがり。

そこまで自覚したとき、ならば今回は謙虚に山(地形)に向かい合い、地形図をもとにいつでも通用する方法を確立しようと考えた。


「登ってこれたのだから下れるはずだ」

こういう思いが道迷いを生むのかもしれない。根拠のない思い込みや過信に通じるからだ。だから山には謙虚に向かい合わなければならないのだろう。




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熊倉山分岐。

「←大血川」を示すテープが不安な心を落ち着かせてくれた。
もちろんここでもコンパスで進路を確認した。




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クイナ沢橋を経て15時40分、大血川観光渓流釣場へ。

ストックを縮めながら自販機へ行くと、私を見た親子が『こんな所に山があるんだー』と意外そうにつぶやいた。私からするとこの渓流釣場に他県ナンバーの車がたくさん来ていることのほうが意外だった。(※)

※あとで調べたらここのうどんが美味しいとの評判らしい


秩父鉄道の帰りの列車に乗っている最中、突然猛烈に寒気がして気持ち悪くなり、野上駅で降りてトイレで吐いた。

今回で三回目だが一度たりとも満足に帰れたことがない。
まるで下界に逃げる人間を小黒の魔物が付け狙ってくるような・・・こうも妙な出来事が重なるとそんなことを信じたくなる。



★登山記録

■2013年9月22日(日) 晴れときどき曇り 最高気温29℃ 最低気温16℃

■コースタイム
太陽寺入口バス停9:00→大血川観光渓流釣場9:54→クイナ沢橋(登山道入口)10:33-50→熊倉山分岐12:18→小黒12:52→酉谷山13:21-30→小黒13:54→熊倉山分岐14:10→クイナ沢橋15:10-15→大血川観光渓流釣場15:45-55→太陽寺入口バス停16:45

■総歩行距離 約19.6km(マピヨンのキョリ測で測定)

■交通費(主なもの) 秩父鉄道:羽生-三峰口(秩父路フリーきっぷ)1,400円、西武観光バス:三峰口-太陽寺入口200円×2

■登山口から遭遇した人数 5人(1組)

■備考・注意点
大血川観光渓流釣場に飲料の自販機あり。水は東谷林道のクイナ沢橋(登山道入口)までは随所で補給可。登山道に入ってからは水場は一切ないので、酉谷山山頂から15分ほどの酉谷避難小屋かクイナ沢橋で補給する。

・とにかく行程が長い。上記コースタイムはほとんど休まず無理をしているので上り+30分、下り+20分ほど多めに見て欲しい。下りは小黒だけでなく熊倉山分岐→登山口まで道迷いしやすい箇所があるので時間には余裕が欲しい。人がいないので明るいうちに登山口に戻らないと危険。
・終バスが早いので注意。ちなみにバス停から三峰口駅まで約3.5km
・登山客は殆どいないので静かに登れる
・景色はほとんど期待できない

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コメント

shige様

以前から何度も小黒(酉谷山)の記録を反芻しながら読まさせていただいておりますが、今日ブログを拝見すると「3度目の正直」ということで、おめでとうございます。

クイナ沢橋からの酉谷山は、出会う人も稀で、植林地や樹林帯の中ばかりを歩くの出展望もなく、しかし、そんなところが気に入って何度か歩いています。

小黒周辺は踏み跡を忠実にたどろうとしても、別なところに引き込まれてしまう可能性が特に高いところですね。

投稿: 老少年 | 2013年10月 6日 (日) 10時26分

はじめまして、コメントありがとうございます。

東谷林道コースはクイナ沢橋までは退屈ですが、その先は静かに、そして適度に緊張感を持ちながら歩けるのがいいですね。

小黒周辺はテープはもちろん、踏み跡自体が薄いものを含めてあちこちにあるので、結局は地形を見ながら抜けるのが良いのかなという考えに至りました。あと記事には書きませんでしたが登山口⇔熊倉山分岐で迷い人(?)がつけたと思われる薄い踏み跡やスリップ跡の多さが気になりました。また踏み跡やテープの種類から察するに、あの尾根を直登する人もいるようですね。

老少年さんのブログは避難小屋の検索で過去に何度か訪れ、記事を拝見しております。「酉谷山避難小屋宿泊記録」は貴重な情報源として、また事前にマナーなどを学ぶ場として公共性も高く、大変参考になります。

投稿: shige | 2013年10月 6日 (日) 13時14分

shige様、はじめまして。

遅いコメントで申し訳ありません。
昨年11月に同じコースで酉谷山を往復した者です。
当時、shige様の遭難記事を拝見させていただき、大変参考にさせていただきました。

小黒辺りは強く印象に残っております。
紛らわしく役に立たないテープばかりで、記事に書かれている通り、往路では東の尾根へ、復路では北への尾根に引っ張られ易い所です。

それにしても無事に往復されたとの事で、なによりです。
今回の記事を拝見し、小黒辺りの道迷いを回避する方法が詳細に書かれてあり、なるほどと納得いたしました。

私の場合は、登山口⇔熊倉山分岐間の大きな岩を右に巻かず、テープに惑わされ岩の左側を進み尾根を直登しましたが、そこが一番危険でした。
下調べも十分ではなかったのがいけないのですが。

今後も参考にさせていただきますので、よろしくお願いします。

投稿: HIDEJI | 2013年10月11日 (金) 00時44分

コメントありがとうございます。
所用で返事が遅れてすみませんでした。

HIDEJI様の記事を拝見して印象に残った箇所がありました。
>ついつい道っぽいところや平らなところを頼りにしてしまうので

…の箇所ですが、私もまさにそうでして、特に登りがきついと地図やコンパスを出したり、時には考えることすら面倒になって適当に歩きがちになります。さすがに最近は反省して、ひとまず呼吸を整えてから状況を確認するようになりましたが…

最近、いろんな方の記事や私自身の山行を振り返って感じるのですが、山というのは「こんなの楽勝だよ」とナメたり、面倒だからと適当に進むと大抵しっぺ返しを喰らいますよね。私も何度も何度もしっぺ返しを喰らってようやくその辺を学習してきました。

HIDEJI様の記事を読むと私と似通ったものを感じるので、これからもちょくちょく拝見させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: shige | 2013年10月13日 (日) 05時58分

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